6章「コンクリート工事」


 この「お客様は建築主様です」のコーナー・・・少しご無沙汰してしまいましたが、これから春にかけて徐々に進めてまいります。皆様のかわらぬ御愛顧 どうぞ宜しくお願い申し上げます。頑張ります(笑)!


 さて今回は・・・前回の鉄筋工事に引続き、コンクリート工事についてのお話をさせて頂きます。



 コンクリートは固まると非常に強度が高く、長い年月を経ても劣化しにくい性質を持っています。そのため、中高層の建築構造に多く採用されています。また、現場には固化した状態ではなく液状の物質(生コンクリート)として運びこまれるため、建物の大きさや搬入の経路に関係なく材料を搬入することができます(鉄骨や木材では長い部材を使用せねばならない事も想定され、現場に搬入できないという可能性があるのです)。さらに、現場で組み立てた型枠に流し込んで成型するため、さまざまなデザインに対応できるメリットがあります。



 このような性質をふまえ、多くの建築家は「思い描くデザインを表現しやすい材料」としてコンクリートを採用するのです。一昔前の話ですが・・・1980年代・・・多くの美術館や博物館、商業施設がモニュメント性を帯び、装飾性を際立たせながら生み出されてゆきました。「ポストモダン建築」隆盛の頃・・・・そのほとんどがコンクリートを用いた建築であった事を思い出します。ただし、これらコンクリート建築物は木造や鉄骨造に比べてハイコストであり工期が長くなるため、住宅建築ではクライアント(お客様)の選択肢の中でプライオリティ(優先順位)のランキングとしては高くないようです。また、防火・耐震など法規的要因が条件に加わる場合には採用される割合は多くなりますが、郊外地の良好な地盤での計画では実例が少ないように感じます。



 コンクリートは水・セメント・砂利などの骨材を混ぜて生成されますが、その配合により強度や施工性が大きく変わります。そのため、施工時には大変気をつけなければならない材料と言えます。まず使用するにあたり様々な試験(スランプ試験、試験体=テストピースの採取・破壊検査・非破壊検査など)をおこない、設計通りの強度が確保されるか確認をします。次に、打設する際には型枠や鉄筋の間に空隙が入らないようコンクリート自体を充分振動させながら流し込みます。作業時間も大切です。あまり時間をかけてしまうと継ぎ目ができたり建物全体の強度が不足したりするのはもちろん、コンクリートが固化し始めるために修正できなくなります。ゆえに、この打設作業が相当の神経をつかうものとなるのです。中でもコンクリート打ち放しの建物の場合、この作業によって肌合いが決まりますので、特に気をつけるようにします。



 施工としてはなかなか大変な材料ではありますが、耐震性能・防火性能の実績は秀でており、災害時には家族を守ってくれる心強い「シェルター」になります。何十年経ってもビクともせず安心して住み続けられる「建て替えスパンの長いコンクリート建築」・・・これこそエコロジーであり本当のローコストとも言えるかもしれません。


(文:那須啓一郎



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今回も お読みいただき ありがとうございました