エッジを持つ住宅  



 2本の狭い道路に挟まれた三角形の狭小敷地(準工業地域 法定容積率200% 法定建ぺい率60%)に建設中の住宅です。ショートケーキのような形態が印象的です。
 この計画における最もクリティカルな問題は「道路斜線制限」と「延床面積」の関係です。現行の建築基準法における道路斜線の考え方は、道路境界線からセットバックするほど高い建物を建てられるというものです。しかしこの物件のような狭い土地では、セットバックによって建設可能な床面積が小さくなってしまう「反比例」の関係になるのです。
 そこで次の手を考えます。「1フロア毎の高さ(階高)を少しでも抑えれば床面積が広がる」と。
ですが、これも居住空間である以上 心地よい必要最低限の天井高さは確保したいところ・・・
 そんな試行錯誤の末に生み出されたのが、「1F ガレージ」+「2F LDK&バス」+「ロフト」という内部空間を包含した案です。
 鉄骨によって構成されたエッジの角度は39度。たいへんキレの良い姿を見せており、完成が楽しみな作品です。

(文:久保田正一