伝えるコト 「大道芸ワールドカップ in 静岡」


 11月に入りました。静岡では一昨日まで「大道芸ワールドカップ in 静岡」が開催され、連日の賑わいを感じておりました。私自身、ここ数年体験することができなかったこのイベントですが(昨年は神戸〜京都に おりました)、今年は久々に楽しむことができました。中でも、京都の知人から「注目!」と伺っていた ユキンコアキラ氏の姿を見ることができたのが大きな知的収穫だったと言えましょう。



 ユキンコアキラ氏のパフォーマンス・スタイルは「リズム・ペインティング」・・・その場で題材を探し、自作のリズムにあわせて踊りながら描き続けるものです。(おそらくオリジナルの)リズムボックスを肩に書け、複数のスイッチングとターンテーブル状コントローラーを巧みに駆使しながら、パターンを変えつつ場面を展開させてゆきます。即興的ではありますが、対象をしっかり捉えて描き続ける姿は「ストリートミュージシャン、画家、大道芸人・・・あるいはアスリート・・・」といったカテゴライズを超えるものです。絵筆、スプレー、パステル・・・次々と画材を持ち替えつつ、気がつけば人物や情景が眼前に表れている・・・この「パフォーマンスのプロセスを全て見ることができる」という「視点場の面白さ」が特徴的です。マジシャンのステージでは「ありえない立ち位置(=タネが見えてしまう)」ですからね(笑)。



 また一般に、パフォーマーは観客に顔を向けるものですが、ユキンコアキラ氏のパフォーマンスはキャンバスが観客に見えるようにセットされます。ゆえに、観客はユキンコアキラ氏が絵を描いている間は背中を見続けるという・・・これも「大道芸」というカテゴリーからすれば一風変わった光景かもしれません(笑)。そんな中、題材を見定めるため、および思いを伝える時に、彼はオーディエンス(観客)に向かい、そして問いかけます。そう、このパフォーマンス中の彼は、「キャンバス」と「観客」をつなぐため、懸命に踊り描き続ける「媒体(メディア)」と化しているのです。それも、ただの機械的な伝達者ではない・・・「一番大切なコト」を届けるため、熱い情熱をもって観る者の心を揺り動かすのです。私も、つい手に汗を握り、ステップを踏んでいました(笑)。



 腕や技、笑いだけでなく、「心に響く」という点も含め、このパフォーマンスには強く共感しました。「イイタイコト」・・・これを いかに伝え示すか・・・わかりやすさ・力強さ・誠実さなど多くの点において自分のタメになった感がありました。この場に足を運ぶことができて、たいへん良かったです。



 もうひとつ、気になったのが音源です。素敵です。テクノ・ハウス系DJが中心となった屋外パフォーマンス(レイヴなど)ともなると、配線・電源・天候に苦労させられるものですが、ユキンコアキラ氏の機材は予想以上にコンパクトかつムーヴァブル・・・そんな機器構成に惚れました(笑)。目につくケーブルといえば、音源〜モニタースピーカー間だけですからね。この「場所を選ばずパフォーマンスできそうなスタイル」にも感動・・・ユキンコアキラ氏の今後の益々の御活躍を期待しております。



 あっ、それと・・・肉体を かなり駆使しながらのパフォーマンス・・・秋ですから美味しいモノをいっぱい食べて下さいね(笑)。



(文:久保田正一



■参考URL
大道芸ワールドカップin静岡 http://www.daidogei.com/
・ユキンコアキラ オフィシャルサイト http://f27.aaa.livedoor.jp/~painterg/top.html
・同 ブログ http://www.yukinkoakira.cocolog-nifty.com/
GYAO未来図鑑 #60」 http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0036357/


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なかのひと


今回も お読みいただき ありがとうございました