響きある空間・建築


 昨日は休日・・・久々に自宅のコンピュータを整備しました。まずDVDドライブを増設・・・そして次に控える音楽入力用25鍵キーボード(MIDI-USB)の入荷を楽しみにしながら机のまわりを片づけていたところ、テレビで建築関連の番組放映を知り、ついつい見入ってしまいました。しかも4時間連続・・・(笑)。タイトルは「夢の美術館 世界の名建築100選(前編)」・・・・実は この番組 2008年1月27日に NHK BS-hi で放送されており、今回は NHK BS2 での再放送・・・前回 見逃した私にとっては「渡りに舟」の1日でした(笑)。


 司会は女優 竹下景子さんとNHK 石澤典夫アナウンサー、ゲストに俳優 中尾彬さん、作曲家 千住明さん、モデル KIKIさん、タレント アンガールズさん、語りは武田広さん、声の出演は小室正幸さんと樫井笙人さん、そして監修に建築史家・建築家の藤森照信さんを迎えて、名作100作品を紹介するのですが、今回は前編・・・52作品を見る事ができました。


 ほとんどの建物は私が知っているものでしたが、番組プロデューサー、ディレクター、カメラマン、ゲスト、ナレーター、声優という それぞれの「違いが わかる眼」で紹介される事で、また新たな感動を体験できました。特に、作曲家 千住明さんが訪れた南フランス ル・トロネの修道院の「再発見」は嬉しかったです。


Architecture of Truth

Architecture of Truth


 ル・トロネ(Le Thoronet)は、セナンク、シルヴァカーヌとともに「プロヴァンスの3姉妹(Les Trois soeur de Provence)」として知られる12世紀頃に建てられたキリスト教シトー派の修道院で、ロマネスク建築の名作としてル・コルビュジエ氏、安藤忠雄氏など近代・現代の偉大な建築家に大きな感動と影響を与えている建築として知られます。特にコルビュジエ氏は、ル・トロネのインパクトを自作ラ・トゥーレットの修道院に込めたというエピソードで知られますよね。ル・トロネ・・・その構成はシンプルかつ均整のとれた縦横比のプロポーションを持ち、空間は光と一体化し、リズミカルなアーチも「構造」という機能のみならず素材感とともに美しさを兼ね備えるものとして、空間構成に花を添えます。



 千住さんは、この内部空間でモノフォニーによる声の「響き」を体感します。もっぱら視覚情報を多く受容する現代社会において、この「響き」を通した体感を伝えて頂いた事は大きいと思います。もちろん音の専門家たる千住さんですから、きっかけは「耳=聴覚」なのでしょうが、「響き」とは五感を超えた「全感覚的に感じるもの」です。「今後の作品に影響が出るくらいに考え方が変わった」と発言されたところをみますと、それはそれは素晴らしい体験をされたのだと思います。たいへん羨ましく、素直に「いいなぁ〜」と つぶやいてしまいました(笑)。


 このル・トロネの修道院の他にも注目作品が目白押し・・・さざえ堂、投入堂は大学時代から ずっと気になっていましたし、「竹中大工道具館」さんが紹介された ちょうな、槍がんな など昔の大工さんが使っていた道具にも興味を惹かれました。また、スウェーデンからは私の好きな建築家グンナー・アスプルンドの創り出した「森の墓地」が・・・。ゆったりとした勾配をもつ緑空間の中で建築は控えめに、そして人々は森に帰ってゆく・・・そんな風景(ランドスケープ)が見事に保たれる名作です。


アスプルンドの建築 1885‐1940

アスプルンドの建築 1885‐1940


 ちなみに、後編は2月16日(土)13:30〜17:30 ・・・ チャンネルは今回に同じく BS2 です。興味のある方 お見逃しなく(笑)!


(文:久保田正一


■参考URL
 夢の美術館 世界の名建築100選 http://www.nhk.or.jp/yumebi/



checker
1)人気blogランキング
2)デザインブログ
3)くつろぐ投票


なかのひと


今回も お読みいただき ありがとうございました