1章 一般共通事項  



 今回は建築工事全てに関わる総括的内容です。イメージしにくい部分かもしれませんが、工事全般のバックボーンとなる大切な部分です。よくお読み下さい。


「人間関係」
 このように書き出すと心地よからぬ感じもしますが(笑)、ここで言う「人間関係」とは「工事に関与する人たちの役割分担」を言います。
 建設工事には、建築主・設計者・施工者という3つの立場が存在します。建築主とは建築工事のプロジェクト・リーダーであり、住宅工事ではお客様(お施主様)の事です。
 その建築主から依頼されて計画を組み立てるのが設計者です。これは建築家、建設会社の設計部門において担うものです。設計者は、工事完了まで現場状況を監理する能力をもって建築主をサポートします。
 そして、設計者の計画図をもとに忠実かつ精巧にビルドアップしてゆくのが施工者であり、その窓口は建設会社となります。建設会社は多くの職工をまとめ、工事内容の指示や工程管理、検査、コスト管理、施工図作成を行います。ここで陣頭に立つのが現場監督です。
 1棟の小住宅の施工といっても、そこには様々な種類の職種とそれを担う職人が参加します。鳶工、土工、鉄筋工、型枠工、建具工、板金工、左官工、タイル工、石工、防水工、左官工、塗装工、内装工、水道業者、電気業者、ガス業者、空調業者など・・・なんと、住宅1棟を建てるだけで20近くの業者が関わるのですから、これをまとめるだけでも大変なエネルギーを必要とするものです。


「施工」
 施工者は建築主の希望を実現させるために精一杯の知恵と努力によって建物を創ります。我々が設計・施工する住宅は、電化製品や自動車とは異なるフル・オーダー・プロジェクトです。そのため、毎回工事内容が異なります。また外部作業が多いため、天候や敷地状況など現場環境が一つとして同じことはありません。
 そのような環境のもと工事を円滑に遂行できるよう、日本では設計図面の記載内容、施工方法、試験方法、安全対策を建築基準法労働安全衛生法、環境基本法などの遵守が定められています。施工者は、それに従って作業を進めてゆくのです。
 昨今、様々なフェイズにおける事件や問題が報告されています。これを未然に防ぐのが私たち施工者の役目であり、「共通事項」は、その根幹として存在意義を示すのです。フル・オーダーでしか味わえない「オンリーワン」感覚・・・そのスタート地点が、ここにあります。

(文:那須啓一郎


■写真 : 契約書 設計図書



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