パリの地図=アクソノメトリックな風景  



 自宅の部屋の壁・・・そこに1枚の地図を貼っています。これは、妻が静岡市内のインテリア系アンテナ・ショップ「emotions」さんで購入したものです。本来の用途はラッピング・ペーパーらしいのですが、あまりに綺麗なので思わずインテリア・アイテムに早変わり といったところです。


 いまさら言う程の事でもないですが、女性はパリ・テイストに目がないものです。色・形・サイズ・・・いろいろなモノ・コトにおいてフレンチ・スタンダードを憧憬し、追い続けます。京都に関しても同じ事が言えます。京都という街は今も昔も日本女性の垂涎の的ですが、これは若い男性にはなかなか理解できないものです。私も高校時代までは「理解できない派」でした。ですが、なぜか運命の糸をたぐりよせられるかのごとく京都の大学に行く事になり6年間・・・その後 東京に住むも、再び京都に戻って足掛け15年間を過ごす事によって、ようやく「理解できる派」に転向したものです。修学旅行で数日京都に来た男子中学生・高校生には、その良さがわかるとは到底思えません。私自身そうでしたから(笑)。旅行誌がパリや京都のような歴史都市の特集を毎年繰り返し掲載しているのも、やはり購買対象を女性に位置づけているからに他ありません。


 話をフランスに戻しましょう。パリの街並みと言えば「テュルゴの鳥瞰図」が有名です。当時パリの行政官であったミシェル=エチエンヌ・テュルゴは、パリの素晴らしさを全世界に知らしめるため、ルイ・ブルテに下図を、クロード・ルカに銅版画を作らせたのです。パリ市街地を20枚に分けて書いた壮大な「地図=作品」は、現在もルーヴル美術館に所蔵されています。このテュルゴの地図はアクソノメトリックという画法によって描かれています。アクソノメトリックとは難しい呼び名ですが、簡単に言えば「斜め上から鳥の目線で見た図」です。わが家の地図には、そんなアクソノメトリックのイラストが小さく可愛く記されています。テュルゴの地図の壮大さと比べるとずいぶん可愛い表現になっていますが、建物の場所・形態を短時間で見つけるのに有用な表現となっています。こういう「プチ」なところが、女性の心を惹きつけて止まないのだと思います(笑)。


 もう少し歴史の話を続けましょう。現在のパリの街並みは、100年以上前の都市計画によってもたらされたものです。19世紀末 ナポレオン3世の政権下 当時のセーヌ県知事(今のパリ市長にあたるジョルジュ・オースマンの尽力による「歴史都市の将来を見据えた改革」です。近代において、開発が美観とともに受け容れられた瞬間でした。道と共に街路樹や公園も整備され、街区も拡大されたのです。「旧市街地」と「新市街地」という呼称は、この時に産まれました。


 そんな素敵なパリの地図を見ながら最後に一言。なぜ建築家がフランス好きか・・・大抵の人が偉大なる建築家 ル・コルビュジェの名を挙げるでしょう。サヴォア邸に代表される一連の白い住宅や皮貼りの優雅な家具LCシリーズを目にしただけで、私も「プチ・コルビュジェアン」の心理状態になります。「同じフランス好きでも女性とは目線が違うのですよ」と、プチ自己主張したくなりますが、今日のところは黙っておいて・・・
我が家は皆フランス+京都好き・・・楽しく暮らしております(笑)。


(文:久保田正一

■写真:パリの地図 左にルーヴル美術館、右にポンヌフとシテ島が見える。

■「 emotions 」 静岡県静岡市葵区追手町1-19 Tel = 054-254-7040
参考URL:http://www.womo.jp/modules/womo/celebrity.html#cele003


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