共に在るコト 建築・風景  



 「園三日記」というブログがあります(http://blog.livedoor.jp/enzo_garden/)。作者はGARDEN WORKS 園三(ENZO)代表 田畑さん。実を言うと、田畑さん 10年ほど前に私が京都の短大で教えた学生(当時)です。今は地元岐阜において、庭師・ランドスケープ・デザイナーとして日夜活躍しています。
 そもそも私がブログを始めようというきっかけを作ってくれたのが、この「園三日記」です。この園三師匠(笑)は、昔からひとつの事にたいへん熱心に取り組む人間で、最初は器用にできなくとも、持ち前の粘り腰で、最終的には教師が教えるデザイン手法を確実に体得していました。また、広大な土地の実測作業の後、測量ポイント1000ヶ所以上を元に、造成土量を電卓ひとつで計算しきったツワモノでもあります。目を潤ませながら一生懸命頑張っていた姿は後輩たちの間で「伝説」として今も語り継がれています(笑)。
 住まいを考える場合、インテリアも大切ですし、形態や外装素材の選択も大切です。それに加え、最近はガーデン、ランドスケープを視野に入れた計画が必要とされます。住まいは、結果として自分の嗜好=個性を表出し、人々の目に触れる知覚対象となるものです。その「個性」が列状・面状に集まって「街並み」が形成されます。全体に統一感があれば魅力的な風景(ランドスケープ)が生まれ、そうでなければ雑多なモノのカタマリとなってしまいます。もちろん前者が魅力的なものである事は言うまでもありませんし、そういう街区こそ「憧れの住みたい町ベスト10」にノミネートされるのです。
 現在、建築デザイナーは「タテモノ」という箱を作るだけではいけません。ランドスケープの在り方を踏まえた上での空間検討が必要なのです。そのためにもランドスケープ・デザインを理解する人間との交流をもった住まいづくりが必要です。
 近いうちに園三さんとコラボレーションできれば・・・この頃、特にそう思います。彼も「静岡は営業範囲内です!」と言ってくれますので、心強い限りです。園三師匠 よろしく!


(文:久保田正一

■写真:ワークショップにおける園三さん作成のランドスケープ・ダイアグラム(1998)