京都と静岡で「重森三玲」を見る


 さて、先の神戸・京都行から既に1週間が経ちましたが、昨日の体験を待ち、その上で書き留めておくべき内容と考えたため 本日発となりました。お待たせしましたが、ごゆるりと・・・(笑)。話題は 庭・モダン・京都・静岡と めぐります。


 11月初旬・・・京都市中の紅葉は もう少し待たれる模様・・・そんな様相の東福寺に参りました。ピークの一歩手前にもかかわらず朝から多くの方々が拝観に・・・カエデたなびく渓谷の奥にわたる通天橋を見つつも 私の「お目当て」は方丈庭園・・・作者は明治〜昭和を生きた造園家 重森三玲氏です。



 鎌倉期に造営された寺院において、昭和の時代に庭を造る・・・普通に考えると 過去の様式に沿うカタチでの「復古デザイン」を想起しがちですが、この重森氏の着想は そこに新しいものを求めます。



 北側の市松の庭を はじめとした印象的な空間が方丈を包みます。しかしながら、それらは均衡(つりあい)をもって存在します。



 この空間での体験を忘れぬうちに昨日、静岡アートギャラリーに行きました。もちろん「重森三玲の庭」展を見るために・・・。



 東福寺松尾大社岸和田城などの自作とともに、各地の庭園の実測調査など 数多くの業績を図面、写真、模型をとおして知る事ができました。御子息が撮影された記録映画(大学の卒業制作として記録されたフィルムです)も上映されており、自邸の作庭の様子が見てとれます。この重森三玲邸は京都大学のすぐ近くにあり、私も20年ほど前は何度も門前を通ったものです。数年前、シャープの液晶テレビアクオスAQUOS)」のCMで吉永小百合さんとともに自邸が紹介されたのは 記憶に新しいところですし、最近は「重森三玲庭園美術館」として公開されています。



 この映画の中で、重森氏は「モダン」という言葉を多用しつつ、しかしながら「過去を学べ」と説きます。特に「茶道を学ぶ事で庭を見る」と・・・ ひとつの教養として「茶の湯」を知るべきであるという事ですね。


 ただし重森氏の使用する「モダン」は、現在使われる意味合いとは少し趣を異にしているようです。彼のいう「モダン」は「前衛」と訳される・・・そう、現代で言うところの「アヴァンギャルド」です。当時親交を持っていた芸術家・花道家をみれば、「なるほど・・・」という感じですね(笑)。ちなみに、現代において「モダン」は「近代的」という意味で用いられる事が一般的のようです。


 この「重森三玲の庭」展・・・静岡での開催は11月18日までとなっております。秋の京都に旅立つ前に、静岡で「重森三玲」の情報をインプットしておけば・・・そうそう、静岡パルコ(PARCO)で「KYOTO DEPARTMENT」というイベントも開催中です。これで京都と静岡の文化交流度が相当アップしますよ(碇シンジ君のように「シンクロ率400%」とまでは いきませんが・・・笑)。



(文:久保田正一



■参考URL


東福寺
 http://www.tofukuji.jp/


重森三玲庭園美術館
 http://www.est.hi-ho.ne.jp/shigemori/association-jp.html


静岡アートギャラリー「重森三玲の庭」展
 http://www.art.shizuoka-city.or.jp/program/20071006niwa/20071006niwa.html


ムック「PAPER SKY」NO.23
 http://www.selectsquare.com/p/shop/item_det.asp?ID=029071041500092&c=1


松岡正剛の千夜千冊『枯山水重森三玲
 http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0861.html


Spice of Life 京の街角
 http://easykyoto.exblog.jp/4146807/


静岡パルコ(PARCO)[イベント]KYOTO DEPARTMENT (2007/11/1-11/18)
キュートな、キョート、大集合。京都スーベニイルコレクション
 http://www.parco-shizuoka.com/web/event/



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今回も お読みいただき ありがとうございました