Go straight (旧吉田茂邸)


 昨日は日頃から御世話になっている方々と共に「建築研修会」に参加しました。行く先は神奈川県中郡大磯町・・・鴫立庵と旧吉田茂邸を拝見しました。その中から、今回は旧吉田茂邸について記します。


 吉田茂氏とは・・・言うまでもなく 戦後の日本を支えた総理大臣の一人です。居宅は増築がなされ、2棟が傾斜地の上段・下段に並ぶ配置に なっています。規模は びっくりするほど大きいものではありませんが、美しく葺かれた瓦屋根、庭につながる風景をもつ居間、かなたに富士山を眺める会議室を体感できました。この建物の設計は、昭和を代表する日本の建築家 吉田五十八(よしだ いそや)氏の手に よるものです。日本建築の特徴とも言える「構造体と意匠部材が視覚に うったえかけてくる」特徴を持ちつつ、大きなガラス引戸やショーケース、ソファ、テーブル、暖炉を受け入れたデザインが特徴的・・・数寄屋建築に洋のテイストを持ち込んだ作家の一人です。吉田五十八氏は、他にも歌舞伎座(東京都中央区)、岸信介邸(静岡県御殿場市)など著名な建物、著名な人物の住宅を設計しています。それとともに、我々が学生の頃には、優れた現代建築をたたえる「吉田五十八賞」というアワードがあったことでも知られます(1976年〜1993年)。


 この邸宅へのエントランスは「兜門」をくぐります。



邸内から見た屋根が兜(かぶと)のように見えるからですね。



 そして、邸内の芝生上に敷かれた2列の石は・・・皇太子殿下(現在の天皇陛下)が おこしに なる際の「車寄せ」として つくられたものだそうです(なお、陛下は兜門の前で お車を降りられ、歩いて邸内に入られた・・・というエピソードも付け加えておきましょう=笑)。 



 注目すべきは、この石の平行線の情景・・・清清しさを覚えました。Go straight ! ・・・得るものが大きい日曜日でした。



■追伸1
 現在、この旧吉田邸は西武鉄道(株)によって管理されていますが、近い将来、管理が神奈川県の手に うつるとのこと・・・その時点から一時的に「非公開」となり、数年後、あらためてオープンする予定です。日本の歴史を語るうえで欠かすことのできない宰相 吉田茂氏の居宅として・・・それに加えて、偉大なる昭和の建築家 吉田五十八氏が設計した建築作品として、いつまでも湘南の海に あり続けてほしい邸宅のひとつです。


■追伸2
「公開にあたり建築物の撮影はご遠慮願います」との御指示を受け、今回は外部空間の画像アップということになりました。



■参考URL


鴫立庵(しぎたつあん)
http://www.town.oiso.kanagawa.jp/kankou/shigitatsu/shigitatsuan.html


吉田茂
http://www.pref.kanagawa.jp/press/0605/25061/022.pdf


松岡正剛の千夜千冊『吉田茂とその時代』
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0327.html

          
吉田五十八(建築家)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E4%BA%94%E5%8D%81%E5%85%AB




(文:久保田正一



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今回も お読みいただき ありがとうございました