サスティナブルな思考 自分らしさの定番探訪



 なぜか・・・というか、割と・・・というか、建築デザイナーは黒いジャケット&パンツを好む人が多いです。占いによれば、自己顕示のための「勝負服」だとか(笑)。それはさておき、私も黒い服を多く持っています。思い起こせば、私が大学生の頃は、20代の若者が普段着としてジャケットとパンツを身にまとう時代でした=1980年代(笑)。友人と一緒に、コム・デ・ギャルソンやY’sのショップを駆け回って黒い服を集めたものです。


 それら「勝負服」は今も着ることができるのですが、それに飽き足らず、今日あらたに黒いジャケットを買ってしまいました(笑)。なお、今の私は以前よりもブランドに関する趣向の巾は広がっており、今回はユニクロを「大人買い」です(笑)。


 「なぜ黒なの?」と聞かれます。その時は、「ひとつには突然呼び出されても失礼のないようにできるから。もうひとつは体型を維持すれば一生着ることができるから」と答えます。「もったいない」の思想でしょうか(笑)。さらに、「時代によって素材・デザインが変わるでしょ?」と聞かれる事もあります。その時には「定番を好んで買い集めていますから」と答えます。流行に左右されにくいスタイルとテイストの維持に心がけているという事ですね。


 「スタイル」は「様式」と訳されます。また、「テイスト」は「趣向」と訳されます。私たちは、生きてゆくうえで自分にふさわしい最良のデザインを手に入れるため、大なり小なりスタイルとテイストを気にして生きています。これは「自分らしさ」を実感・表現する行為なのです。


ただ、これが住宅となると不明な点があまりに多く、そう簡単にスタイルとテイストを定める事ができません。そんな時に必要なのが建築デザイナーの知識ですよね(笑)。我々はクライアント(お客様)の希望を聞き、イメージを整え、実現してゆくのが仕事です。希望は、斬新な思想、伝統的な工法、機能重視の構成、耐震性優先の構造など様々です。しかしながら、それが一過性の思い込みだったり、バランスを欠いている場合もあります。そんな時は、我々が「水先案内人」となってスタイルとテイストを明らかにしてゆくのです。


 スタイルとテイストが明らかになってきたところで、次に考えねばならないのが「サスティナブル・デザイン」です。「サスティナブル」とは、「持続可能な・・・」と意味を持ちます。家にとっての「サスティナブル」とは、まず「長持ちするモノ=耐久性に優れた家づくり」です。日本の気候が以前より激しいものに変化してきたというニュースを聞きます。建築材料も、以前にも増して耐侯性のある素材が求められています。


「サスティナブル」のもうひとつの側面として、「長持ちするコト=飽きの来ない家づくり」を挙げる必要があります。今、あなたが思い描いている理想的住まいのイメージは、いつ出来上がったものですか?・・・それは数十年後も愛し続ける事のできるものですか?・・・将来の家族構成をシミュレートした上でのイメージですか?・・・このイメージの持続こそが、クライアントに愛される住宅づくり成功への第一歩なのです。


「そう言われても、未来は誰にもわからないから・・・」


それも一理あります。ただ、近未来の自分を想定して生きてゆく事は、ポジティブなライフスタイル形成の一歩でもあります。まず、5年後の姿をイメージしてみましょう・・・「想像」は、やがて「創造」へと進化します。これは、「自分の価値基準を保つ訓練」なのです。自分の「定番」を持てば、他人との距離感も明確になりますし、かえって意思統一が図れるものです。時流に流されないグッド・デザインを獲得できた自信があなたを支えてくれますよ。そう、いま風に言えば、「ぶれのない生き方」ができるという事です。但し、人の意見に耳を貸す事を忘れてはいけませんよ。それができないと、ただの頑固者ですから(笑)。


■写真:ユニクロ 黒ジャケット 3着 大人買い(笑)


(文:久保田正一

<追伸>
 家づくりは「勢い」が大切です。しかしながら、「勢い」とはクライアントが自ら進んで獲得したものというよりも、家族の変化、職場の転換、資金計画など外的要因により誘発される場合の方が多いものです。きっかけとは、そういうものかもしれませんね。さて、そのように身の回りの状況がホットになってきた一家が、はたしてクールなデザインの家を考えることが可能か・・・これが、なかなか悩ましい問題なのです(笑)。この話は、いずれまた・・・。



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