マンガ・TV・アニメに見る家族の情景(2)


 前回に続き、家族の情景を俯瞰してみましょう。今までに多くのフィクショナルな「住まい」が制作されました。皆さんも多くの「家族」を見てきたことでしょう。その中で、私が近代・現代の住宅建築・都市景観を語る際のキーワードとして引用するのが「岸辺のアルバム」(TBS)、「金曜日の妻たちへ」(TBS)です。これらは、団塊世代前後の核家族化したサラリーマン家庭における「心」が描かれるドラマとして広く知られています。そして、この「心」が間取り構成と密接な関係を持つと考えられます。個室のシーンでは過去のシーンを回想しながら自己葛藤を繰り返し、パーティー・スペースを持つリビング・ルームでは家族・知人との人間模様を示すといったように・・・。


 住まいの中には「個室→家族室→客間」というプライヴァシーのグラデーションがあります。いつ、どのようなシチュエーションで、どの場所に自分が存在するかを想定した上でシナリオが書かれるのです。


 これはホームコメディも同じです。「時間ですよ」(TBS)のような職住近接のドラマでは「店」と「家」のジャンクションに面白さを感じ、「毎度おさわがせします」(TBS)では同じような間取りの集合住宅的空間において少しずつ様子の違った事件が起こり、それを比較・共有するところが面白いところです。また、アニメ「サザエさん」(フジテレビ)では、その間取りの面白さとともに、社会のモラルを感じ取る事ができます。


 そんな中、最近フツフツと笑いをもたらしている家族像を見てしまいました(笑)。「菅井君と家族石」・・・ネットでブレイクしたFlashアニメですね。


公開されているURLは複数あります。
http://www.jvcmusic.co.jp/kaeruotoko/
http://www.kaeruotoko.com/contents.html
http://www.myflux.jp/movie/sguy/index


DVDも発売されました。


作者は映像クリエーターのフロッグマン(Flogman)氏 (蛙男商会)です。


 テレビ東京ワールド・ビジネス・サテライト」など、過去に何度かテレビでも採りあげられている稀代の有名人ですが、その詳しいプロフィールは、11月12日のNHK教育トップランナー」にて知る事ができました。ここでフロッグマン氏は、本上まなみさん、山本太郎さんを相手に軽妙に自作を語ってくれました。


 インターネットからテレビにも進出した彼の作品の特徴は、脚本・作画・声優を ほぼ一人でこなすことです。対外的人件費が殆どゼロに近いというところが、まず凄い=学生的なエネルギーをそのまま社会に持ち込んだ感があります。インターネットを使えば地方のコンテンツもメジャーにできる事を実践し、島根発で日本のメディア界に新たな旋風を起こしています。


 これが笑えるのは、元ネタを知っているからでしょう。「スライ&ザ・ファミリーストーンSly & the Family Stone)」・・・そう、おそらく我々の年代をターゲットにしたものです(笑)。数多のヒット曲はもちろん、「エド・サリバン・ショー」にも出演し、1990年代にはデュラン・デュランジャネット・ジャクソンにカバー・サンプリングされています。

新しい世界

新しい世界

Thank You

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リズム・ネイション1814

リズム・ネイション1814


 この「菅井君・・・」では、「サザエさん」に見られるような部屋間の連係シーンが一切ありません。じゅらく壁仕上げのような床の間付の茶の間、お勝手場、日当たりのよさそうな縁側とオープンスペース・・・みんな既に忘れているような そんな日本の農村住宅的デザインソースを固定背景にして黒人家族が活発に笑いを発信しています。関係性をクールに示す事で、「縁(えにし)」を笑い飛ばしているようにも見えますね。もちろんフラッシュアニメで軽い容量で作成されている事が動きの少ない背景となる最大の要因でしょうけどね。ただ最後に一点、「島根だったら瓦は石州・・・もう少し屋根を赤茶色に強調してゆけばベターかな・・・」と(笑)。


(文:久保田正一


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