5章 鉄筋工事


 皆様 お待たせいたしました。「お客様は建築主様です」・・・久々の更新です(笑)。さて今回は、現在の建築工事には欠かせない鉄筋について語ってまいります。



 鉄筋コンクリート造では もちろん、木造でも鉄骨造でも 基礎などのコンクリートの中には 必ずと言ってよいほど鉄筋が入っています。雨などで錆びてしまうため単独で使われる事はほとんどなく、完成した段階では見えませんが、建物の強度を確保する大変重要な建築材料です。


 昨今の社会問題として強度不足の建物が取り上げられ、大きな事件にまで発展してしまいましたが、その根本的な問題が「鉄筋量の不足」でした。あの細い鉄筋が不足すると、なぜ建物の強度が不足してしまうのでしょうか。それは、鉄筋とコンクリートの材料の特性にあります。


 コンクリートは、外から大きな力が加わったときに強い強度を発揮する・・・つまり圧縮される力に強いという材料です。逆に、引っ張られるような力に対してはそれほど大きな力を発揮しません。


 一方、それとは逆に、鉄筋は引っ張られる力に対しては粘り強く耐える力がある反面、圧縮されると折れ曲がるなどの変形を起こしてしまいます。


 つまり、この反対の特性を相互に補う事で、圧縮にも引張にも強い材料が作れるようになります。それが「鉄筋コンクリート」なのです。


 強い構造体を形成するには適量のコンクリートと鉄筋の組合せが必要です。鉄筋ばかり多くても、またコンクリートばかり多くても、適切な強度は確保されません。一般的には「コンクリート1立方メートルあたり0.12〜0.17トン」が適量とされています。この数値に比して鉄筋が多すぎると鉄筋間にコンクリートがしっかりと流れ込まないため、構造体として不十分になります。逆に、コンクリートに比して鉄筋が少なすぎる場合も強度不足となるのです。


 また、鉄筋は現場への搬入上、あまり長いものは運べないため、工事現場で数m毎に継ぎ足していきます。この溶接の作業方法や継ぎ足しの重ね継手の長さについては、法規において詳細に定められています。これを遵守しない場合も、やはり強度不足につながります。


 一般には建設現場でしか見れない鉄筋工事ですが、非常に重要な部分であり、コンクリートを流し込んだ後では手直しもできないため、構造計算に始まり材料の品質・数量・継ぎ手・形状など最も厳重なチェックが必要な工事といえます。



(文:那須啓一郎



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