[建築コラム 「モノ・コト」 KASANE-HAKO reform 2


 本日は「KASANE-HAKO リフォーム」その第2弾をお伝え致します。場所は玄関ホール上部の手すり・・・と言ってもユニバーサルデザインバリアフリーの類ではありません(笑)。「採光を得るための手すり工事」なのです。


 今回の工事箇所は2階南側の廊下部分・・・ここは吹抜上部に設けられた窓の開閉を行なう場所です。ここから吹抜全体に やわらかな風が流れ込むよう 腰壁をルーバー状の木製横格子としたのです。また、木材の厚さ30ミリ、すきま30ミリとすることで、お子さんにも安心・安全の設計となっています。


 ルーバーの材質はメイプル(カエデ)です。水平方向に連なるラインは この住宅計画のコンセプト「かさね(積層)」を暗示するものでもあり、吹抜空間内において気品と落ち着きを奏でるデザイン・ファクターのひとつです。高品質な空間を醸し出すために使われた このメイプル材のサイズは厚み30ミリ、奥行90ミリ・・・これによりルーバーは「深み」を保ってきました。ただ、このルーバーが設けられたのは建物の南東側・・・そう、太陽の光を採り入れる場所としては最適の壁面なのです。しかしながら、季節によって太陽高度が変わる時にルーバーの効果が大きくなり、ホール床面の明るさを確保しきれない時期がある事がわかりました。


 そこで、今回は「光・デザインの踏襲・安心・安全」をキーワードにしたリフォームを進める事としました。まず 水平材は上部3本、下部2本を残し、中央方立てを残しながらルーバーをカットしてゆきます。



 その後、中央方立てを垂直軸として対称形の四角形開口を作りました。周囲に額縁をまわして透過性面材の搬入を待ちます。



 数日後、現場にポリカーボネート中空板が届きました。これは板の中央部がストローが連なったようになっているもので、間隙が空気層となっています。軽くて丈夫 しかも安全なので、最近の住宅では子供が手を触れる部分に重用される製品です。また、中空板ゆえに光を乱反射させる事で中空板本体が発光するのです。今回使用したのは、旭ガラスの「ツインカーボ タフネス」という製品です(厚さ10ミリ)。そして・・・中空板の設置方向は・・・もちろん水平方向の模様を重視です。



 こうして納められたポリカーボネート板は、存在感を消すようなかたちで吹抜けに馴染んでしまいました。目立ち過ぎず・語り過ぎず・・・リフォームのあり方を考えつつ進められた工事でした。



(文:久保田正一



■参考URL■

KASANE-HAKO http://kubota-kensetsu.co.jp/works/new4.html

設計 Integrated Network kc2   http://www.kc2.org/

施工 久保田建設株式会社 http://www.kubota-kensetsu.co.jp/




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