8章「外壁工事(鉄骨造)」


 今回は 前回の内容に続く内容として「鉄骨造でよく使用される外壁材」について記してゆきましょう。鉄骨造にはALC(軽量気泡コンクリート)や押出成形セメント板という高い耐火性能と強度を持った外壁材を一般的に使用します。これは鉄骨本体の耐火性能を保護する役割も担うためで、これにより延焼防止の「バリア」が形成されるのです。また 鉄骨造は地震や台風・幹線道路からの影響により振動を受ける事があります。これに追従できるよう 特殊な方法で外壁を取り付けます。


 ここでALCと押出成形セメント板について説明してゆきましょう。


ALCとは部材内部に細かな気泡を含んだコンクリートパネルで、水に浮くほどに比重が小さく軽い素材です。そのため部材自体が厚くても施工・運搬にかかる負担が軽く、断熱性能も高く有する事ができるのです。ただし表面が比較的柔らかいため 細かな意匠表現よりも どちらかと言えばシンプルでスッキリした外観デザインを構成する場合に向いている材料でしょう。また 素地板(無塗装品)のままでは水を吸ってしまうため 仕上げに防水性のある塗装をする必要が必要です。


一方、押出成形セメント板は ALCよりも比重が大きめという事もあって製品厚はALC板よりも薄めです。そのかわり 板の間に中空の空気層を用意する事で断熱性を確保する工夫がなされています。また表面に強度があり無塗装品としても使用できるため様々な状況・デザインに対応できます。



 これら外壁材は共通して「建物内部から固定できる」という特徴を持っています。材料に相応の厚みがあるため 内側からのビス固定でも表に貫通する心配がないからです。これによって外観を損ねることなく外壁の固定ができます。また、街中の狭小地において想定される隣の建物と間隔が狭い現場でも施工が可能です。外部足場を組まずに施工する事もできる材料です。耐火性・施工性・遮音性を発揮する材料として、昨今の住宅建築にもよく使用されています。一歩街に出ると一流ショップ・デパート・スーパー・量販店等の商業施設にも使用されている材料・・・意外と身近なところで目にしている高性能な外壁材なのです。



(文:那須啓一郎



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