重森三玲庭園美術館 認識の深まり(京都)


 昨年11月・・・京都市 東山区 東福寺にて、明治〜昭和を生きた造園家 重森三玲氏が作庭した「方丈庭園」を愉しみ・・・今回は、その続編となります。東京、静岡、福井、宮崎・・・日本各地で建築活動を展開している諸氏とともに春の京都の庭園空間を巡る中、ふたたび重森氏が生み出した空間に足を運ぶこととなりました。今回の目標は重森氏が実際に暮らした居宅でもある「重森三玲庭園美術館重森三玲邸 書院・庭園)」です。


 京都市左京区吉田上大路町・・・京都大学 正門 時計台から歩いて数分(というか 小走りで数十秒=笑)に位置する この庭園は 近年になって一般公開されるようになりました(要予約)。学生時代から重森邸の存在は知りつつも、四半世紀たった今 京大キャンパス近くで庭園を見る・・・入学式シーズンの ちょっと不思議な空間体験です(笑)。



 書院前庭の風景は・・・そう、「亀山モデル」として広く知られる シャープ「アクオス(AQUOS)」CMの1シーンとしてのイメージが強いですね。女優 吉永小百合さんが この庭園に佇む様子が思い出されます。白川砂と苔、御影石で仕立てられた枯山水の「場」に浮かぶ 美しい青みのある石が空間規定の源となっています。


 この庭園の様子・・・私は写真や図面で何度も見ているのですが、実際に見て その印象が変わりました。上記写真のアングル(視点場)が最も有名で、私は この庭園が 大きく重く厚い巨石で埋め尽くされているものと想像(イメージ)していました。しかし、実は そうではなく・・・大きくこそあるものの 厚みは思ったほどではなく、どちらかと言うと「板状」と言った方がよい石群が地面に差し込まれているのです。見学ルートが庭園西側=側面からのアプローチとなることで、我々は この事実を最初に知りました。


この認識の深まりは久々の「目から鱗(うろこ)が・・・」的な感動です(笑)。景石が創りだす層(レイヤー)が建築の内部と外部をつなぐ・・・その試みを見ることができたのですから・・・。


 来訪当日は庭園北東に位置する好刻庵にて茶会の席が予定されており、我々は 朝8:30から小一時間の滞在・・・しかしながら、たいへん深い思いを胸に刻むことができました。まさに「好刻」の ひととき(笑)。書院にはイサム・ノグチ氏から贈られた照明器具も見られ・・・まさに昭和モダンの史実を知る 趣深い経験となりました。



(文:久保田正一



■参考URL


重森三玲庭園美術館(要予約)
http://www.est.hi-ho.ne.jp/shigemori/association-jp.html


松岡正剛の千夜千冊『枯山水重森三玲
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0861.html


建築コラム 京都と静岡で「重森三玲」を見る
http://d.hatena.ne.jp/kubota_staff/20071112


シャープ 薄型テレビ/液晶テレビ アクオス
http://www.sharp.co.jp/aquos/


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なかのひと


今回も お読みいただき ありがとうございました