14章 金属工事


 久々の このコーナー・・・今回は金属工事について記します。


 金属工事には壁や天井の内部下地を軽量な鋼製材料で組み立てる工事、バルコニーや屋上に設置する笠木・手摺工事があります。鋼製の下地は建物の用途や防火上の規制により高い耐火性能を要求される場合に用います。不特定多数の人が使用する建築や鉄骨造・RC造の住宅の天井や間仕切壁などが該当します。

 笠木・手摺工事は、ほとんどの住宅で行われている工事です。(力学的な分野における)建築構造には直接関係ありませんが、笠木は防水上非常に重要な部分です。現在使用される笠木は、ほぼ全てがアルミ製品もしくは防錆処理を施した鋼製品です。同様に手摺も 今では ほとんどがアルミ手摺や鋼製手摺に なっています。

 長い年月を経過しても腐食しないようにとの配慮から、特に外部に使用する部材の多くが木材製品から金属製品へ移行されています。そのためメンテナンスや補修をしなくても長年にわたって強度が低下することもなく安心して使用できるようになりました。また鋼製手摺は木材では不可能だった細い部材を使うことで繊細な表現が可能になりました。建物のデザインにも大きく貢献しているのです。



 上記2品(アルミ製・鋼製)に加え、最近はガルバリウム鋼板を使用する例が増えてきました。以前は工場に使用されるイメージでしたが、今では、形状や色の種類が増え、デザイン性もアップしています。耐腐食性に強い皮膜を形成しているため、以前ほどメンテナンスに気を遣うことなく長年の使用に耐えられるようになっています。そのため、外壁を問わず屋根材、笠木にも使用されています。

 このように、金属は現代建築に欠かせないものになっています。それは素材の耐久性だけでなく滑らかな曲線を描く複雑なデザインをも可能にするカタチの自由があるからです。建築家フランク・O・ゲーリー氏が設計したビルバオグッゲンハイム美術館がよい例でしょう。この美術館の外壁はチタンでできているのですが、非常に有機的な曲面を描いています。従来の木や石などの素材では 到底実現できないデザインです。

 今日、新しい建築デザインを考える際、耐火性・耐久性を考える際、金属は様々な要求に応えてくれる非常に重要な材料だといえます。



(文:那須啓一郎



■参考URL

フランク・O・ゲーリー(Frank Owen Gehry)
http://architect.architecture.sk/frank-owen-gehry-architect/frank-owen-gehry-architect.php


今回も お読みいただき ありがとうございました。


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