17章 カーテンウォール工事


 春を待ちながら・・・庭先に梅がほころぶ季節となってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか(笑)。今回はカーテンウォール工事について記します。

 カーテンウォールとは、ガラスやプレキャストコンクリート、セラミック等の素材を外壁用として使用する場合に あらかじめ工場でパネル状に製作し、それを構造躯体に取り付けるようにしたものです。

 パネル化されたカーテンウォールは、風や音や日射等を遮る もしくは 通すことについては、一般的な「外壁」と同じ効果がありますが、構造耐力上の役目は担っていません。あくまで柱・梁等の構造躯体で建物を安定させた上で、外装として取り付けられたものです。地震や強風時に建物が揺れた場合、カーテンウォール本体がその揺れによって損傷したり脱落したりしないよう 外力を逃がす取付方法となっているのです。

 これにより超高層ビルでも全面ガラス張りにできるようになりました。都市部にある高層オフィスや商業ビルのほとんどはカーテンウォールで覆われていると言ってもいいでしょう。そのため凹凸の少ないシャープな外観が目立ちます。古くはニューヨークにある「レバーハウス」(1952)が まさにその代表作です。設計はゴードン・バンシャフト(Gordon Bunshaft)・・・アメリカの大事務所 スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル(SOM)のメンバーです。

 また最近では、1枚1枚すべて湾曲させて製作したカーテンウォールを用いた例として、東京 六本木の新国立博物館が挙げられます。画一的な幾何学から抜け出した自由な曲線をガラスで表現した柔らかさを感じる建築です。

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久保田建設株式会社 office-kc)

 このカーテンウォールは、主にビル建築で採用される工事ゆえ一般住宅ではあまり見られませんが、例えば壁面を全てガラス張りにするような場合には住宅でも採用可能です。通常のサッシに比べて何倍もコストがかかってしまいますが、非常に洗練されたデザインになります。夜は行灯のように夜道を照らすシンボリックな建築になりながら、昼は街の風景がガラスの壁面に写しこまれ、街に溶け込んでしまう透明感のある建築にもなるでしょう。



(文:那須啓一郎)


■参考URL
http://www.houseco.jp/work/detail/1563/101563





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なかのひと