場を感じ、間を創る〜「海の博物館」(鳥羽市)

 少し間をおいての記述となりましたが、引き続き「海の博物館」(鳥羽)・・・今回は建築内部からの視線を中心に話を進めてゆきます。

 この広い敷地に配された建築群のうち、(おそらく)もっとも対比して語られるのが展示棟と収蔵庫でしょう。各種メディアにおいて何度となく目にしてきた 2棟の内部空間・・・イメージアビリティ(わかりやすさ)を有する建築ゆえ、私のコメントなくしても御理解いただけると思いますが(笑)、少しだけ追記するならば・・・


 展示棟は木造・・・大きな空間を支える構造が圧巻ですね。一般的な木造住宅では柱と柱の間隔が3-4m程度ですが、博物館に求められるような大空間にあって、そのピッチで柱を置くことは機能的でないもの・・・ということで、大空間を構成すべく3つの構造が採用されています。すなわち、1)屋根を支える山型フレーム、2)大断面集成材によるアーチ、3)棟方向に伸びるトラスです。木造トラスは日本の教会建築で用いられていますね。私が この架構を見たのは、たしか学生時代・・・同志社大学 礼拝堂(チャペル)調査の時だったと記憶しています・・・多分(笑)。



 一方の収蔵庫はコンクリート造・・・PC(プレキャストコンクリート)造という工法が採用されています。PC造とは工場で成型したユニットを現場で組み立てるものです(一般的な鉄筋コンクリート造はRC造と言われます)。これにより、壁〜屋根工事における現場でのコンクリート打設工事が必要なくなります。構造上の興味深さとともに、現場作業のクオリティの一定化が図られた選択であったと思われます。鳥羽特有のリアス式海岸は行き着く道もロング アンド ワインディング・・・品質を維持しながらの生コン車の往復の大変さを考えられたのでしょうね。そこに構造とデザインの妙・・・意味ある選択と認識しました。

 その他、構造とは別の視点で気になった美しいショットを配しつつ・・・(笑)。




(文:久保田正一



■参考URL
SDG(海の博物館)http://www25.big.or.jp/~k_wat/umihaku/index.htm


今回も お読みいただき ありがとうございました。


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